世界の持続可能な観光地 100 選に会津若松が初選出
~地域資源を活かした観光まちづくりが評価~
観光の国際認証団体 Green Destinations(グリーン・デスティネーションズ)(本部・オランダ)による 2025 年版「Green Destinations Top100(世界の持続可能な観光地 100選)」が 2025 年 9月 29 日に発表され、会津若松が初めて選出されました。漆文化を軸に、森林保全と伝統工芸の継承、観光を融合させた地域の取り組みが「文化と伝統」分野で高く評価されました。
会津若松では、地元産の漆の樹液や実を活用して産業として「会津塗」が発展してきましたが、近年は他国産漆との価格競争激化などを背景に、地場産漆の森林保全と、伝統的な漆器の製造技術の継承にむけた職人と資金の確保が課題となっています。一方で、持続可能性を重視する市場の醸成や顧客の増加を背景に、森林保全とものづくりを結びつける価値が再認識され、時代の変化に対応した観光コンテンツの整備が急務となっています。
会津若松は自然・歴史・伝統文化と観光を融合させたモデルの構築を通じて、漆文化の価値向上と持続可能な地域発展を目指し、さまざまなステークホルダーと意見交換を重ねながら、持続可能な観光プログラム、体験型ワークショップ、森林や文化財の保全活動を戦略的にマッチングさせることで、新たな市場の創出を図ります。
<会津若松の取り組み>
⚫ 森林保全と持続可能な資源管理
⚫ 伝統工芸の継承・革新と観光の統合
⚫ 通年型観光の拡充と持続可能性の強化
今回の応募は、漆の森保全や利活用に取り組んでいる地域企業や団体、会津若松市、会津若松観光ビューロー、会津大学の学生と AiCT コンソーシアムによる産官学の連携で実現しました。「世界の持続可能な観光地 100 選」に選出されたことにより、会津若松の国際的な認知度の向上と、更なる訪日観光客(インバウンド)誘致の促進が期待されるほか、他地域とのネットワーク形成と知見共有による相乗効果が期待されます。さらに、地域住民・事業者の誇り(シビックプライド)の醸成と持続可能な取り組みへの意識向上、地域内における協働体制の強化を目指します。
AiCT コンソーシアム観光ワーキンググループでは、今後も産官学民で連携を軸に、国際基準と照らした持続可能な観光モデルの構築を進めるとともに、他地域との連携や国内外への情報発信を通じて、地域の魅力を全国、世界に広げていきながら、30 年、50 年後を見据えた持続可能な地域づくりを目指します。
■Green Destinations Top100 とは
国際的な観光認証団体である Global Sustainable Tourism Council(GSTC:国際持続可能観光協議会)の認定基準に基づき、世界中の持続可能な観光地の優良事例を評価し、毎年 100地域を選出するものです。応募にあたっては、サステナビリティ・チェック(15〜30 項目)で 60%以上を取得した上で、地域独自の持続可能な観光の取り組みについて、有効性、革新性、再現性、社会・経済・環境への影響の観点から国際審査員による厳正な評価が行われます。
■背景
AiCT コンソーシアムの観光ワーキンググループでは、2024 年 10 月に国連世界観光機関(UNWTO)を誘致し、国際的な持続可能な観光の認証基準である Global SustainableTourism Council(GSTC)の指標を学ぶ「GSTS サステナブルツーリズム研修」を会津若松市内のスマートシティ AiCT で開催しました。3 日間にわたるプログラムには、会津若松市および近隣自治体や観光協会の職員、民間の観光関連事業者、AiCT コンソーシアム会員企業から計 24 名が参加しました。世界の事例を交えた指標学習と、七日町エリアおよび会津さざえ堂でのフィールドワークを通じて会津若松の持続可能な観光コンテンツの造成に取り組みました。この研修を契機に生まれたプログラムが、今回の「世界の持続可能な観光地100 選」への応募につながっています。
また、本研修プログラムの修了者のみが受験できる「GSTC Professional Certificate inSustainable Tourism」には、参加者のうち 12 名が合格。現在も AiCT コンソーシアム観光ワーキンググループでは、研修参加者を中心にサステナブルツーリズム勉強会を定期開催し、持続可能な観光に関する継続的な学びと実践の場を提供しています。
一般社団法人 AiCT コンソーシアムについて
AiCT コンソーシアムは、オプトインによるデータ活用とパーソナライズによる市民中心のスマートシティ実現に向け、国内外の有力企業、会津地域の企 業や団体など、約 95 の会員企業・団体で構成されているコンソーシアムです。2011 年に会津若松市・会津大学・アクセンチュアの産学官連携で始 まった、東日本大震災からの復興に向けた取り組みを端緒として、先進的なスマートシティの取り組みが進み、多数の企業が会津若松市に集積したことを受けて、2021 年に設立されました。会員企業・団体は、スマートシティのデータ連携基盤となる都市 OS を軸に、ヘルスケア、防災、データ利活用、 ものづくり、エネルギー、教育、食・農、観光、行政、決済、モビリティ、サーキュラーエコノミー、API、コミュニケーション領域など、幅広い分野のスマートシ ティサービスを、組織の枠を超えて開発、運用しています。本コンソーシアムでは、会津地域で 10 年以上をかけて培われた知見、プラットフォーム、ネット ワークをもとに、会津における地域 DX(デジタル変革)を目指すとともに、日本のあるべきスマートシティのモデルとして全国に発信しています。会員企業の詳細は、AiCT コンソーシアムの Web サイトをご覧ください。
https://www.aict.or.jp/company-list
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■本件に関するお問い合わせ
AiCT コンソーシアム事務局
E-mail:info@aict.or.jp
Web サイト:[https://www.aict.or.jp](https://www.aict.or.jp)